プラズマ発生装置
2種類の大型プラズマ発生装置を使用して実験を行います。
核融合科学研究所(NIFS)の大型ヘリカル装置(LHD)では、長時間安定なプラズマを保持できるという特徴を持ちます。現在は、1億2千万度を超える温度のプラズマを生成することができています。プラズマ生成実験は毎年約4ヶ月間行われ、令和4年度末までのプラズマ生成実験が予定されています。20年以上の運転実績を持つ実験装置であり、既設の計測システムを部分的に改良することで速やかに研究が開始できる状況にあります。
量子科学技術研究開発機構(QST)のJT-60SA装置は、トカマク方式によるプラズマ閉じ込め装置で、令和2年に建設終了、初プラズマ点火に成功した最新鋭の大型実験装置です。本格的なプラズマ生成実験は令和5年度から開始される計測です。令和5年度までにLHDで開発した計測システムをJT-60SAに移設し、核融合炉心プラズマの計測を行います.
計測システム
加熱用中性粒子ビームとバルクプラズマの荷電交換反応を利用した分校システムで、LHDのイオン温度や流速度の計測に用いられてきました。イオン衝突周波数を超えた高速計測を実現するため、分光器のF値改良、大口径化、検出器の高速化を行います。この高速化によって、数十キロヘルツの速度空間歪みの揺らぎを観測します。
A. 高速荷電交換分光システム(イオン速度分布関数計測)
電子の速度分布関数がマクスウェル分布になる場合、磁場強度と放射の周波数が1対1対応となります。電子の速度分布関数を計測するには,磁場強度の変化が小さい視線を選んで、磁場強度変化による放射の周波数広がりを最小にし、非マクスウェル成分による周波数の広がりを高周波数バンドの電子サイクロトロン放射強度測定システムで計測します。
JT-60SA装置では,垂直方向の磁場強度がほぼ一定であるので,新たに垂直方向の視線を設置して、計測を行います。
B. 高周波数バンド電子サイクロトロン放射強度測定システム(電子速度分布関数計測)
電子の速度分布関数がマクスウェル分布になる場合,磁場強度と放射の周波数が1対1対応となります。電子の速度分布関数を計測するには、磁場強度の変化が小さい視線を選んで、磁場強度変化による放射の周波数広がりを最小にし、非マクスウェル成分による周波数の広がりを高周波数バンドの電子サイクロトロン放射強度測定システムで計測します。
JT-60SA装置では、垂直方向の磁場強度がほぼ一定であるので、新たに垂直方向の視線を設置して、計測を行います.
理論・シミュレーションからのアプローチ
定常的な速度空間歪みに関する理論・シミュレーションは、古くから研究されています。ところが、歪みの揺らぎに注目した理論・シミュレーションはほとんど着手されていませんでした。
本研究では、速度空間歪みの揺らぎの理論モデルを構築し、実験・観測との比較ができるシミュレーションコードを開発します。実験・観測と理論・シミュレーションを組み合わせることで、位相空間の揺らぎと輸送物理の理解を進めます。